2012/03/22

H&M、ノニルフェノールの出所が判明したことを公表

昨年、グリーンピースが発行した報告書「ダーティーランドリー」にて、大手アパレル各社の多くの製品から内分泌かく乱物質とされるノニルフェノール(NPE)が検出されたことが発表され、それを受けて、プーマ、ナイキ、アディダス、H&Mなど大手アパレル各社がNPEを含む有害物質の使用禁止を表明しました(NYGF)。

その後日談として、先日、H&MがNPEの出所が判明したことを発表しました。 


当時は、同社が1999年から禁止物質リストでNPEを規制し、09年からは同物質の使用を禁止していること、にもかかわらずグリーンピースの調査でNPEが検出された理由は、含有量ゼロにすることは難しく同社規定値を100mg/kgとしているためであること、引き続き化学物質管理の改善に努めること、2020年以降に有害物質の全廃を目指していること、などを表明していました。

そして今回、さらなる調査を行った結果、NPE未使用の認証を得ている染料や化学物質にNPEが含まれていたことが判明したとを発表。
今後は化学薬品メーカーと協力しNPEの全廃に努める旨を、改めて同社ウエブサイトに掲載しました。

グリーンピースに告発された多くの企業が将来的な目標を表明をするだけでお茶を濁しているのに対し、自主的に調査を続け原因究明を行った同社は、透明性が高く真摯な企業といえるでしょう。
H&Mは使い捨てのファストファッションですから、ビジネスモデル自体が環境負荷が高いことは否めませんが、少なくとも同社がこうした努力をしていることは称賛に値すると思います。

少し気になったのは、文末にあった以下の記述です。

「Helena Helmersson is our Head of Sustainability. Opinions expressed are her personal views and do not necessarily represent the official views of H&M. 」
(ヘレナ・ヘルマーソンは、当社のサステナビリティ部門長です。発表された意見は彼女の個人的な見解であり、必ずしもH&Mの公式な見解を表わすものではありません。)

万が一この発表により何か問題が起こったとしても、それはヘレナさん個人の責任であり、会社は責任を負わないということになります。
この発表は同社の公式なプレスリリースではなく、「ヘレナからのメッセージ」ということで同社ウエブサイトに公開されたものですし、ヘレナさんも承認のうえでのことでしょうが、社会のために努力している従業員の行動を会社として責任を負わないというのはいささか不誠実であるように思います。
あるいは、本人が、会社の承認を得てから発表するよりも個人の見解としてすぐに公表した方が影響力がある、あるいは他社に対して優位性を保てると考えたのかもしれません。
いずれにしても、環境対策で競争するのは望ましいことですし、環境NPOの告発に対して真摯に対応する姿勢は素晴らしいと思います。

資源不足や気候変動が深刻化する中、ファストファッションというビジネスモデルが遠くない将来立ち行かなくなることは明らかです。
しかし、多くのファストファッション企業が何ら環境対策を行わず、あるいは投資家や消費者向けに対策を取っているようなポーズやこじつけの主張で誤魔化す中、積極的にサステナブル対策を行う同社を、私は支持したいと思います。
但し、もし同社の製品を購入するのであれば、コンシャスコレクションだけに留めるべきでしょう。

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