2011/10/06

オーガニックな食生活とは

オーガニック食をしていると言うと、特に日本在住の方から、特殊な生活を送っていると思われることが多くあります。
変わった人と見られたり、大変ですねと言われたり、かわいそうと言われることもあります。
レストランで食事をしていて、たまたま肉料理が続いていてさっぱりしたものが食べたかったのでシュリンプサラダを頼んだところ、ああそういうものを食べるんですねと言われたこともあります。
アメリカではオーガニック食をしていると言って奇異な目で見られることはないので、日本ではまだオーガニック食品が普及していないために実態が分からないからではないかと思います。
そこで、誤解や疑問を解くきっかけになればという思いの下、私が実際にどのような食生活をしているのか、お伝えしたいと思います。


ひとことで言えば、食材がオーガニックなだけで、それ以外はごく普通の食生活です。
ベジタリアンではありませんので肉も魚も乳製品も食べますし、マクロビなどは行っていませんので砂糖もかつおぶしも使います。
ローフードなど特殊なこともしませんので、火を使って普通に調理します。
体が欲するものが自分に必要なものだと思っていますので、特別な食事法に従ったり制限することはしません。
レシピも、普通の料理本やウエブ上のものを活用して作ります。
和食でも中華でもイタリアンでもその時に食べたいものを作ります。
特別薄味にすることもありませんし、特別料理に時間がかかることもありません。
食べたいものを諦めて、代用品で我慢することもありません。
本当に普通の食生活です。

ただ、食材を可能な限りオーガニック・自然栽培のものにしているだけです。
日本ではまだオーガニック食品が豊富に揃っている店は限られるかと思いますが、アメリカでは大手オーガニックスーパーのホールフーズを始め、近隣の小さなナチュラルストア、ファーマーズマーケットなどで、簡単に手に入ります。
私はCSA(詳しくはこちらをご覧下さい)に加入しているので、夏期の野菜はスーパーなどで購入することはあまりなく、提携農家さんから頂く、その時期に取れる旬のものを食べています。
オーガニック・ナチュラル食品店では、野菜や肉だけでなく調味料もオーガニックあるいは自然のものを扱っているので、こちらも簡単に入手できます。
魚介類などオーガニックになり得ないものは、できる限り天然・自然のものを選びます。
日本の調味料やおやつなど、どうしてもオーガニック・自然のものが手に入らない場合は自分で作りますが、時間のある時に息抜きに作る程度で、根詰めて何が何でもオーガニックということはしません。
外食する場合は、オーガニックは諦めます。
オーガニック食材を使った料理を提供しているレストランでは、なるべくそれを選びますが、外食時はオーガニックは無理と割り切って食べたいものを食べます。
現代社会で生きる以上、100%オーガニックにするのは不可能なので、気負わずにできる範囲で行っています。
このような生活スタイルで、現在の私のオーガニック食比率は90%程度だと思います。
最初から一気にオーガニックに切り替えたわけではなく、市場の成長度と自分の生活スタイルの改善に伴い徐々に増えていきました。

オーガニック食を始めたきっかけは、農薬や殺虫剤が環境汚染に繋がっていることを知ったからです。
自分の食べるものが、自分の体だけでなく、環境にも影響を及ぼしていることを知り、このままではいけないと思いました。
自分の体のことだけであれば、病気になっても自分が我慢すれば良いだけですが、使用した農薬や殺虫剤が農場から地下水、海へと流れ出て環境を汚染し、それが世界中に広がり、私たちの世代だけでなく次世代にも負荷を掛けることを知り、次世代の人々に対する現代に生きる自分の責任と考え、多少高くてもオーガニック食品を選択するようになりました。
また、農薬や殺虫剤を使用すると、それに耐性を持つ虫が現れるため、新薬の開発と配布を永遠に続けなければなりません。
ただ薬品会社の収益を支えるだけで本質的な解決にはならないことがわかり、農薬・殺虫剤の使用を削減すべきだと考えたということもあります。

理由やきっかけ、やり方は人それぞれ違うと思いますし、それで良いと思います。
子供が生まれたことで目覚めた方もいらっしゃるでしょうし、なんとなく体に良さそうだからという方、科学・化学の研究をされている方や農業に従事される方で、実態を知った上でオーガニックを選択されている方、化学物質過敏症で已む無くオーガニックを選んでいる方など、色々だと思います。
ベジタリアンもビーガンもマクロビもローフードもその他の食事法も、各人の考え方や体質によって選択されているのだと思うので、それで良いと思います。
ただ、理解して頂きたいのは、オーガニック食自体は、全く難しいことではないし、辛いことでもないということです。
むしろ、オーガニックでない食品を食べていた頃よりも今の方が、おいしく楽しく充実した食生活を送っていると思いますし、少なくとも私にとっては、オーガニック食を選択することで社会貢献していると考えているので、精神的な満足が得られます。

オーガニックの話をすると、多くの場合、値段が高いから無理だという議論になりますが、値段が高いからオーガニック食品を買えないのではなく、服でも電化製品でも代わりに他のものを購入するという選択肢を選んでいるから買えないだけだと思います。
人生の中で何を優先するかは人それぞれだと思いますが、自分の行為・選択によって次世代の人々に負荷を掛けることは避けなければならないと私は思います。

日本では、オーガニック食材が手に入り難いことが大きな問題だと思います。
オーガニック野菜の宅配業はだいぶ普及していると思うので、入手手段がないわけではないと思いますが、やはり近くの店で入手できる利便性は必要だと思います。
先日、オーガニック野菜ビジネスを始めようと試みたが諦めたと仰る方にお会いしましたが、農家さんが農協の制度に甘えてしまっているため、ビジネスとして成り立たせるのが難しいとのことでした。
日本は制度として難しい側面もあるのでしょうが、それだけではなく色々な要素が絡み合っているのだろうと思います。
鶏か卵かの話になってしまうかもしれませんが、供給を増やすことはもちろん大切ですが、消費者の需要を高めることも必要なのではないかと思います。
アメリカでは、オーガニックが高級でかっこいいイメージで捉えられたため、高所得者層を中心に支持層が広がり、普及しました。
当時はオーガニックの意味を知らずにイメージで購入した方もいたと思いますが、結果的に全米で普及し、普及したことで価格が下がり、低中所得者層も購入できるようになりました。
どんな手段であれ、まずは広めていくことが大切だと思います。

少しでも多くの方が、オーガニック食品事業に興味を持ち、オーガニック食を始めてくださればと思います。

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